WEBコラム
破砕機
二軸破砕機とは?
処理能力・対応材料から見る、一軸破砕機との決定的な違い
#破砕機#環境リサイクル
廃棄物処理の効率化やコスト削減を実現するには、二軸破砕機の特性を正しく理解し、自社の工程に最適な機種を選ぶことが不可欠です。二軸破砕機は低速かつ高トルクで材料を力強く引き裂くため、一軸式では処理が困難な硬質プラスチックや金属、大型の廃棄物に対しても高い対応力を発揮します。
本記事では、二軸破砕機の基本的な仕組みや、一軸式との能力・対応材料における決定的な違いを分かりやすく解説します。
二軸破砕機とは?基本構造と仕組みを解説
二軸破砕機は、その名の通り「2本の軸」を持つ破砕機です。まずは、そのパワフルな破砕力を生み出す構造と仕組みについて、基本から解説します。
二軸破砕機の構造
二軸破砕機の心臓部は、互いに内側へ向かって回転する2本のカッター軸(シャフト)です。それぞれの軸には、鋭利な刃(カッター)が多数取り付けられています。この2本の軸が噛み合うように配置されているのが大きな特徴です。
二軸破砕機の破砕原理
材料を投入ホッパーから入れると、2本の回転軸が材料をがっちりと掴み、軸の間に引き込みます。そして、鋭い刃が材料に食い込み、ハサミのように切断する「せん断力」と、引き裂く力を同時に加えることで、硬い材料や大きい材料でもパワフルに破砕します。
この「引き裂き・せん断」という破砕原理が、二軸破砕機の大きな特徴です。
なぜ詰まり(ブリッジ)にくいのか?
破砕作業で問題となりがちなのが、処理物の「詰まり(ブリッジ)」です。二軸破砕機は、この詰まりが起きにくい構造になっています。
多くの二軸破砕機には、モーターの負荷を監視する機能が備わっています。金属のような極端に硬い異物が噛み込んだり、処理物が詰まったりしてモーターに過大な負荷がかかると、機械は自動で回転を停止し、逆回転します。これにより、詰まりの原因を自ら解消し、安定した連続運転を可能にしているのです。
二軸破砕機と一軸破砕機の違いは「破砕方式」と「得意な処理物」
二軸破砕機と一軸破砕機は具体的に何が違うのでしょうか。両者の特徴を理解するために、まずは以下の比較表をご覧ください。
| 比較項目 | 二軸破砕機 | 一軸破砕機 |
|---|---|---|
| 破砕方式 | せん断式(引き裂き・切断) | せん断式(引き裂き・切断) |
| 回転刃 | 2本の回転軸 | 1本の回転軸 |
| 得意な材料 | 多様多種(硬質物、軟質物、大型物、混合廃棄物) | 均質なプラスチックや木材など |
| 破砕後のサイズ | やや不均一 | 比較的均一 |
| メリット |
・対応材料が広い ・異物混入に強い ・詰まりにくい |
・破砕後の粒度が揃いやすい ・比較的安価な機種もある |
| デメリット |
・粒度が不均一になりやすい ・比較的高価 |
・異物混入に弱い ・詰まりやすい傾向がある |
このように、両者は似ているようで、その特性は大きく異なります。次の章から、それぞれのメリット・デメリットをさらに詳しく見ていきましょう。
【性能比較】二軸破砕機のメリット・デメリット
二軸破砕機が持つメリットは、一軸破砕機の弱点を補うものが多く、その逆もまた然りです。ここでは二軸破砕機の強みと、導入前に知っておくべき点を解説します。
メリット:一軸にはない対応力と汎用性
硬い材料から柔らかい材料まで、多様な処理物に対応可能
二軸破砕機の最大のメリットは、その汎用性の高さです。硬質の廃プラスチックや木製パレット、金属くずから、カーペットや廃タイヤといった柔軟性のあるものまで、一台で幅広い材料を処理できます。
金属などの異物が混入していても故障しにくい構造
前述の通り、二軸破砕機は過負荷を検知すると自動で逆回転する機能を備えています。そのため、処理物の中にボルトや金属片などの硬い異物が紛れ込んでいても、刃の破損や機械全体の故障リスクを最小限に抑えることができます。
大きな処理物もそのまま投入できるパワフルさ
低速・高トルクで力強く引き裂くため、ドラム缶やかさばるプラスチック成形品など、大きな処理物も予備破砕なしでそのまま投入できます。これにより、前処理の工程を削減し、作業効率を大幅に向上させることが可能です。
デメリット:導入前に知っておくべきこと
破砕後の粒度が不均一になりやすい
二軸破砕機は材料を引き裂きながら破砕する特性上、破砕後のサイズ(粒度)は不均一になる傾向があります。そのため、破砕後の材料をそのまま最終製品の原料として使うような、厳密な粒度管理が求められる用途には向かない場合があります。
精密な破砕・均一なサイズを求めるなら二次破砕機との併用も視野に
もし均一な粒度が必要な場合は、二軸破砕機で一次破砕(粗破砕)を行った後、スクリーン(網)を備えた一軸破砕機や粉砕機で二次破砕を行うといった、機械の組み合わせが有効な解決策となります。
生産技術者が知るべき「処理能力」と「対応材料」の決定的違い
生産技術担当者様が破砕機を選定する上で最も重要な「処理能力」と「対応材料」の違いについて、さらに深掘りしていきます。
処理能力の違い:トルク重視の二軸 vs 回転数重視の一軸
両者の処理能力の違いは、その駆動方式から生まれます。
なぜ二軸は硬く大きな物を処理できるのか(低速回転・高トルク)
二軸破砕機は、自動車のローギアのように、ゆっくりとした回転(低速)で非常に大きな力(高トルク)を生み出すように設計されています。この圧倒的なパワーにより、硬い材料や大きな材料でも、ものともせずに噛み砕くことができるのです。
一軸の処理能力とその限界
一方、一軸破砕機は、高速回転するローター刃で材料を削り取るように破砕します。処理スピードは速いですが、トルクは二軸に及びません。そのため、極端に硬い材料や大きな塊を投入すると、処理できずに停止してしまったり、機械にダメージを与えたりする可能性があります。
対応材料の違い:自社の処理物はどちらに適しているか?
この処理能力の違いが、そのまま対応材料の違いに直結します。
二軸破砕機が得意な材料
そのパワフルさから、非常に幅広い材料に対応できます。
- 廃プラスチック
- 硬質・軟質問わず、成形不良品、塊、フィルムなど
- 木材
- 廃パレット、建築廃材、樹木の根など
- 廃タイヤ
- 乗用車からトラックのタイヤまで
- 金属スクラップ
- ドラム缶、アルミサッシ、切削くず、プレスくず
- 混合廃棄物
- 家電製品、OA機器、産業廃棄物など
- その他
- 畳、カーペット、機密書類、廃FRP船など
一軸破砕機が得意な材料
比較的均質で、硬すぎない材料の処理に向いています。
- プラスチック製品
- 軟質プラスチック、ペットボトルなど(一定の大きさに整えられているもの)
- 梱包材
- 発泡スチロール、緩衝材
- 紙類
- 段ボール、紙管、結束された古紙
- 木材
- 比較的小さな木片、おがくずなど
【早見表】処理したい材料から選ぶ破砕機ガイド
自社の処理物がどちらに適しているか、以下の早見表でご確認ください。
| 処理したい材料 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 硬いプラスチックの塊・成形不良品 | ◎ 二軸破砕機 | パワフルなトルクで塊をそのまま破砕可能。 |
| ペットボトル・プラスチックフィルム | ○ 一軸破砕機 | 粒度を揃えやすく、リサイクル原料化に適している。 |
| 廃パレット・建築廃材 | ◎ 二軸破砕機 | クギなどの金属が混入していても処理できる。 |
| ドラム缶・金属くず | ◎ 二軸破砕機 | 高トルクでなければ破砕が困難。 |
| 廃タイヤ・ゴム製品 | ◎ 二軸破砕機 | 引き裂く力で効率的に破砕。 |
| 家電・OA機器(混合廃棄物) | ◎ 二軸破砕機 | 材質が混在していても一台で対応可能。 |
| 段ボール・紙類 | ○ 一軸破砕機 | 粒度を揃えやすく、圧縮・梱包の前処理に適している。 |
【業種別】二軸破砕機の導入事例から見る活用シーン
二軸破砕機は、様々な製造業の現場で廃棄物処理の効率化やリサイクル推進に貢献しています。
- 金属加工業
- 工場で大量に発生する切削くず(キリコ)やプレス後の抜きカスは、かさばり保管場所に困るという課題があります。二軸破砕機で減容することで、保管スペースを大幅に削減し、運搬コストの低減や売却価値の向上に繋がっています。
- 化学・繊維メーカー
- 原料の入っていたドラム缶や一斗缶、試作品や成形不良で出たプラスチックの塊、ロール状の繊維くずなど、多様な廃棄物の処理に活用されています。これまで産業廃棄物として委託処理していたものを自社で減容・破砕することで、処理コストを大幅に削減した事例も多数あります。
- 資源リサイクル業
- 使用済みの家電製品やOA機器を破砕し、鉄・アルミ・銅などの有価物とプラスチック類を効率的に分離・回収するために不可欠な機械として活躍しています。
失敗しない!生産技術者のための二軸破砕機 選定チェックポイント
最後に、自社に最適な二軸破砕機を導入するために、必ず確認すべき4つのチェックポイントをご紹介します。
ポイント1:処理したい材料の特性・形状・最大サイズは?
まず、何を破砕したいのかを明確にしましょう。「プラスチック」というだけではなく、「材質(PP, PE, ABSなど)」「形状(塊、フィルム、容器など)」「最大の寸法」「硬さ」「付着物の有無」まで詳細に把握することが、最適な機種と刃の選定に繋がります。
ポイント2:求める処理能力(t/h)と破砕後の目標サイズは?
1時間あたり、あるいは1日あたり、どれくらいの量を処理する必要があるか(例:2t/h)を算出しましょう。また、破砕後のサイズをどの程度にする必要があるか(例:50mmアンダー)も重要な要件です。これにより、機械のサイズやモーターの出力が決まります。
ポイント3:設置スペースと周辺設備(ホッパー、コンベア)は確保できるか?
破砕機本体だけでなく、材料を投入するためのホッパーや、破砕後の材料を排出・運搬するためのコンベアなど、付帯設備を含めた全体の設置スペースを確認する必要があります。工場のレイアウトに合わせた最適な提案ができるメーカーを選ぶことが重要です。
ポイント4:メンテナンス性とメーカーのサポート体制は万全か?
破砕機の刃は消耗品であり、定期的なメンテナンスや交換が不可欠です。刃の交換のしやすさや、日常点検の容易さといったメンテナンス性は、ランニングコストに直結します。また、万が一のトラブルの際に、迅速に対応してくれるメーカーのサポート体制や、テスト機による事前の破砕テストの可否も、必ず確認すべきポイントです。
まとめ:自社の課題解決と将来性を見据えた最適な破砕機選びを
本記事では、二軸破砕機の基本から一軸破砕機との決定的な違い、そして選定のポイントまでを解説しました。
- 二軸破砕機は**「低速・高トルク」**で、多様な材料や硬い物、大きな物をパワフルに破砕するのが得意。
- 一軸破砕機は**「高速回転」**で、均質な材料を比較的均一なサイズに破砕するのが得意。
どちらが良い・悪いではなく、**「自社の処理物と目的に合っているか」**が最も重要です。
目先の導入コストだけでなく、対応できる材料の幅、日々のメンテナンス性、将来的な処理物の変化までを見据えて選定することが、廃棄物処理コストの削減や生産性向上という、本来の目的を達成する鍵となります。